「足の裏が痛い!」と感じたとき、それがモートン病なのか、それとも中足骨頭痛なのか、迷ったことはありませんか? モートン病と中足骨頭痛の違い を正しく理解することは、適切な対処法を見つけるために非常に重要です。どちらも足の指の付け根あたりに痛みが出やすいですが、原因や症状の出方に違いがあります。この記事では、この二つの痛みの違いを分かりやすく解説していきます。

モートン病と中足骨頭痛、痛みの正体とは?

モートン病と中足骨頭痛は、どちらも足の指の付け根(中足骨頭部)の周辺に痛みが生じることが多いのですが、その痛みの原因となっている組織が異なります。モートン病は、足の指に向かう神経が圧迫されて炎症を起こすことで痛みが生じる「神経の病気」です。一方、中足骨頭痛は、中足骨の先端にある骨頭という部分に過度な負担がかかることで、骨やその周りの組織に炎症が起きる「骨や関節のトラブル」と言えます。

痛みの場所や種類を把握することは、原因特定への第一歩です。 モートン病では、しばしば「焼けるような痛み」「電気が走るような痛み」と表現されることがあり、足の指の間、特に第3趾と第4趾の間(薬指と小指の間)に起こりやすいとされています。しびれを伴うことも多く、靴を脱ぐと楽になるという特徴があります。一方、中足骨頭痛は、歩くときや立ち仕事で足の指の付け根に「ズキズキ」「ジンジン」とした痛みが現れることが多く、特定の指の間ではなく、複数の指の付け根に痛みを感じることもあります。

これらの違いを理解するために、いくつかのポイントを整理してみましょう。

  • モートン病 : 神経の圧迫による炎症
  • 中足骨頭痛 : 骨頭への過度な負担による炎症

また、痛みの感じ方にも違いがあります。

症状 モートン病 中足骨頭痛
痛みの種類 焼けるような、電気が走るような ズキズキ、ジンジン
痛む場所 指の間(特に第3-4趾) 指の付け根全体、または複数箇所
しびれ 伴うことがある あまり一般的ではない

モートン病と中足骨頭痛、痛みを引き起こす原因

モートン病と中足骨頭痛は、原因となるメカニズムに違いがあります。モートン病の主な原因は、足の指への神経が、靴や歩き方によって繰り返し圧迫されることです。特に、つま先が細いハイヒールやパンプスなど、足に合わない靴を履くことが大きな原因となります。また、長時間の立ち仕事や、足のアーチが崩れるような歩き方も、神経への負担を増やしてしまいます。

中足骨頭痛の原因としては、足の骨格のバランスの崩れや、足への過度な負担が挙げられます。例えば、ハイアーチ(土踏まずが高すぎる足)や扁平足(土踏まずが低い足)など、足のアーチの異常は、中足骨頭部にかかる体重を分散させる能力を低下させ、特定の骨頭に負担が集中しやすくなります。また、急激な運動量の増加や、硬い地面でのランニングなども、骨頭への衝撃を強め、炎症を引き起こす原因となります。

原因をさらに掘り下げてみましょう。

  1. モートン病を引き起こす要因
    • 不適切な靴(ハイヒール、先の細い靴)
    • 長時間の立ち仕事や歩行
    • 足の指を圧迫するような動作
  2. 中足骨頭痛を引き起こす要因
    • 足のアーチの異常(ハイアーチ、扁平足)
    • 足への急激な負担増加(運動、体重増加)
    • 硬い靴底の靴

モートン病の症状と特徴

モートン病の症状は、特徴的な痛みを伴います。まず、足の指の間、特に第3趾と第4趾の間に、チクチクとした痛みや、焼けるような感覚、電気が走るようなしびれ感が生じます。この痛みは、歩いているときや、靴を履いているときに強くなる傾向があります。

また、モートン病の症状は、時間とともに変化することもあります。初期段階では、安静にしていると痛みは和らぎますが、進行すると、安静時でも痛みを感じるようになることがあります。足の指の間に、何か異物感を感じたり、触るとしこりのようなものを感じることも、モートン病のサインかもしれません。

モートン病の症状をまとめると以下のようになります。

  • 痛みの場所 :足の指の間(特に第3-4趾)
  • 痛みの種類 :焼けるような、電気が走るような、チクチク
  • しびれ :伴うことが多い
  • 悪化要因 :歩行、靴の着用
  • その他 :異物感、しこり感

中足骨頭痛の症状と特徴

中足骨頭痛の症状は、モートン病とは少し異なります。主に、足の指の付け根、足裏のタコができやすい部分に、歩いたり立ったりする動作で痛みが生じます。この痛みは、ズキズキとした鈍い痛みや、押すと痛むような感覚として現れることが多いです。特定の指の間ではなく、広く指の付け根全体に痛みが広がることもあります。

中足骨頭痛の場合、足裏にタコや魚の目ができていることが多く、これが痛みを悪化させる要因となることもあります。また、足の指を反らせたときに痛みが増すことも、中足骨頭痛の特徴の一つと言えるでしょう。

中足骨頭痛の症状を整理してみましょう。

  • 痛みの場所 :指の付け根(足裏)、複数箇所に及ぶことも
  • 痛みの種類 :ズキズキ、ジンジン、押すと痛む
  • 悪化要因 :歩行、立位
  • 関連症状 :タコ、魚の目
  • 動きとの関連 :指を反らせると痛むことがある

モートン病と中足骨頭痛、診断はどうする?

モートン病と中足骨頭痛の診断は、専門医による診察が重要です。まず、医師は患者さんの症状を詳しく聞き、足の状態を視診・触診します。モートン病の場合、足の指の間を圧迫するような検査で痛みが生じるかを確認したり、超音波(エコー)検査で神経の腫れなどを調べることもあります。

中足骨頭痛の場合も、同様に問診や触診が行われます。足のアーチの形状や、骨頭に圧力がかかりやすい場所などを確認します。レントゲン検査で骨の変形や骨折がないかを確認することもありますが、初期の中足骨頭痛ではレントゲンに異常が出ないことも少なくありません。そのため、症状と診察所見から総合的に診断されます。

診断のために行われる主な検査をまとめます。

  1. 問診 :いつから、どのような痛みか
  2. 視診・触診 :足の状態、圧痛点の確認
  3. モートン病の追加検査 :指の間を圧迫する検査、超音波検査
  4. 中足骨頭痛の追加検査 :レントゲン検査(骨の異常確認)

モートン病と中足骨頭痛、治療法は?

モートン病と中足骨頭痛の治療法は、原因となっている組織へのアプローチが異なります。モートン病の治療では、まず神経への圧迫を減らすことが重要です。具体的には、足に合った靴を選び、ヒールの高い靴や先の細い靴を避けることが基本となります。インソール(足底板)を使用して、足のアーチをサポートしたり、神経への圧迫を軽減したりする方法も有効です。

中足骨頭痛の治療では、骨頭への負担を軽減することが中心となります。これも、足に合った靴選びや、クッション性のあるインソールの使用が効果的です。痛みが強い場合は、消炎鎮痛剤の内服や外用薬、湿布などで炎症を抑えることもあります。また、足の指のストレッチや、足裏の筋肉を鍛える運動も、症状の改善に役立ちます。

それぞれの治療法について、さらに詳しく見ていきましょう。

  • モートン病の治療
    • 靴の改善(ゆったりとした、ヒールの低い靴)
    • インソール(足底板)の使用
    • 安静、アイシング(炎症を抑える)
    • 薬物療法(消炎鎮痛剤)
    • 手術(重症の場合)
  • 中足骨頭痛の治療
    • 靴の改善(クッション性のある靴)
    • インソール(骨頭への圧力を分散)
    • テーピング
    • 薬物療法(消炎鎮痛剤)
    • 運動療法(ストレッチ、筋力トレーニング)
    • 装具療法(骨頭パッドなど)

モートン病と中足骨頭痛、予防策は?

モートン病と中足骨頭痛を予防するためには、日頃の足のケアが大切です。まず、足に合った靴を選ぶことが何よりも重要です。つま先に余裕があり、かかとがしっかり固定できる靴を選びましょう。特に女性は、ハイヒールやパンプスを履く頻度を減らす、またはクッション性の高いものを選ぶなどの工夫が必要です。

また、足の指をしっかり動かすことも予防につながります。足指のグー・チョキ・パー運動や、タオルギャザーなどは、足の筋肉を鍛え、アーチをサポートするのに役立ちます。長時間の立ち仕事や歩行をする場合は、適度に休憩を取り、足の血行を良くすることも大切です。

予防策をまとめると、以下のようになります。

  1. 靴選びのポイント
    • つま先にゆとりのあるもの
    • かかとがしっかり固定できるもの
    • ヒールの高すぎないもの
    • クッション性のあるもの
  2. 足のセルフケア
    • 足指の運動(グー・チョキ・パー、タオルギャザー)
    • 足裏のマッサージ
    • 定期的なストレッチ
  3. 生活習慣の見直し
    • 長時間の立ち仕事・歩行の合間に休憩
    • 体重管理(過体重は足への負担増)

「モートン病と中足骨頭痛の違い」を理解することは、足の痛みに悩むあなたにとって、原因を特定し、適切な対処法を見つけるための第一歩となります。どちらの痛みも、足への負担を軽減し、正しいケアを行うことで改善や予防が可能です。もし足に痛みを感じたら、我慢せずに専門医に相談し、健やかな足を取り戻しましょう。

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