「アメリカンフットボール」と「ラグビー」、どちらもボールを奪い合って相手陣地を目指す激しいスポーツですが、そのルールや戦術には大きな違いがあります。今回は、 アメリカン フットボール と ラグビー の 違い を、初心者の方にも分かりやすく、そして経験者の方にも「なるほど!」と思っていただけるように、詳しく解説していきます。
ボールの運び方とパス
まず、最もわかりやすい違いはボールの運び方です。アメリカンフットボールでは、ボールを前方に投げる「パス」が非常に重要視されます。クォーターバックが狙いを定めて遠くまで投げ、レシーバーがキャッチする、この一連の流れはアメフトの醍醐味と言えるでしょう。
一方、ラグビーではボールを前方に投げることは基本的に禁止されています。ボールを前に進めるためには、味方に後ろや横に投げる「パス」か、ボールを持って走る「ラン」のどちらかしかありません。このルールの違いが、両スポーツの展開に大きく影響を与えています。
- アメリカンフットボール:前方へのパスが戦略の核
- ラグビー:前方へのパスは禁止、後ろか横へのパスのみ
試合の進め方と中断
試合の進め方にも、アメリカンフットボールとラグビーでは顕著な違いが見られます。アメフトは、プレーごとに試合が一旦停止する「プレー・ディビジョン」という特徴があります。プレーが終了すると、選手たちは一旦ポジションに戻り、次のプレーの指示を受けてから試合が再開されます。
このプレーごとの中断があるため、アメフトは作戦を練り直したり、選手交代を頻繁に行ったりすることが可能です。監督の采配や、綿密に練られた作戦が勝敗を左右する要素として大きいです。
対してラグビーは、プレーが途切れることなく連続して行われる「ノンストップ」なスポーツです。一度試合が始まると、ボールが外に出るか、反則があった場合などを除いて、プレーは続行されます。このため、試合全体を通して息つく暇もないほどの激しい攻防が繰り広げられます。
両者の進め方をまとめると、以下のようになります。
| アメリカンフットボール | プレーごとに中断、戦略的な要素が強い |
| ラグビー | ノンストップで進行、体力と勢いが重要 |
選手の人数とポジション
アメリカンフットボールとラグビーでは、グラウンドにいる選手の人数も異なります。アメリカンフットボールは1チーム11人、ラグビーは1チーム15人(ユニオンの場合)です。人数が多いラグビーの方が、より広範囲をカバーし、激しいボール争いが展開される傾向があります。
また、ポジションの考え方にも違いがあります。アメフトでは、攻撃と守備で全く異なる選手が出場し、それぞれのポジションに特化した役割があります。例えば、パスを投げるクォーターバック、キャッチするレシーバー、相手をブロックするオフェンシブガードなど、専門性の高いポジションが存在します。
一方、ラグビーでは、攻撃と守備で同じ選手がプレーすることがほとんどです。そのため、選手には攻守両面での高い能力が求められます。フォワード(FW)は体のぶつかり合いやボール争いに強く、バックス(BK)はスピードやパス、キックに長けているなど、役割はありますが、アメフトほどの専門分化はされていません。
ポジションについて、簡単にまとめると以下のようになります。
- アメリカンフットボール:攻撃・守備で選手が分かれ、専門的なポジションが多い(11人制)
- ラグビー:攻守に同じ選手が出場し、オールラウンドな能力が求められる(15人制が一般的)
タックルと反則
どちらのスポーツも激しいコンタクトプレーがありますが、タックルに関するルールにも違いがあります。アメリカンフットボールでは、ボールを持った相手選手を地面に倒すか、ボールから意図的に離れさせることでプレーを停止させることができます。タックルは、相手の進撃を止めるための最も基本的な戦術です。
ラグビーでは、ボールを持った相手選手をタックルで倒すことはできますが、その後のプレーの継続性が重視されます。倒された選手は速やかにボールを離さなければならず、相手選手はボールを奪い返すチャンスが生まれます。また、ラグビーには「ラック」や「モール」といった、倒れた選手や立ったままの選手が密集してボールを争う独特のプレーも存在します。
反則についても、両者で細かく規定が異なります。例えば、アメフトでは「オフサイド」や「パスインターフェア」など、プレーの進行を妨げる様々な反則があります。ラグビーでは、「ノット・リリース・ザ・ボール」(ボールを離さない)や「ハイタックル」(肩より上へのタックル)などが代表的な反則です。
タックルと反則に関する主な違いを以下に示します。
- アメリカンフットボール:プレー停止を目的としたタックル。反則の種類が多い。
- ラグビー:タックル後もプレーが継続。ラックやモールなどの密集プレー。
得点方法
得点方法も、両スポーツの戦略に大きく関わってきます。アメリカンフットボールの主な得点方法は、ボールを相手陣地のゴールラインを越えてエンドゾーンに持ち込む「タッチダウン」です。タッチダウンは6点と高得点であり、試合の流れを大きく変えることができます。さらに、タッチダウン後には追加点として「フィールドゴール」(1点)や「トライフォーポイント」(2点)を狙うこともできます。
ラグビーの主な得点方法は、「トライ」です。トライは、アメフトのタッチダウンに似ていますが、インゴール(ゴールラインの奥のエリア)にボールを地面につけることが必要です。トライは5点です。トライの後には、「コンバージョンゴール」(2点)を狙うことができます。また、試合中に「ペナルティゴール」(3点)や「ドロップゴール」(3点)を決めることも可能です。
得点方法の比較表は以下の通りです。
| アメリカンフットボール | タッチダウン(6点)、フィールドゴール(3点)、トライフォーポイント(1点または2点) |
| ラグビー | トライ(5点)、コンバージョンゴール(2点)、ペナルティゴール(3点)、ドロップゴール(3点) |
用具と装具
激しいコンタクトスポーツであるため、身につける用具や装具にも違いがあります。アメリカンフットボールの選手は、頭部保護のためのヘルメット、肩や胸を守るパッド、膝や肘のプロテクターなど、全身を保護するための装備を着用します。これは、アメフトの激しいタックルやぶつかり合いから選手を守るために不可欠です。
一方、ラグビーの選手は、アメフトほど重装備ではありません。マウスピース(マウスガード)は義務付けられている場合が多く、選手によってはヘッドキャップ(薄いパッドのついたもの)を着用することもあります。しかし、ヘルメットや分厚いパッドの着用は一般的ではありません。これは、ラグビーのプレーの性質上、アメフトのような直接的な頭部への衝撃が少なく、また、密集プレーでの密着性を保つためとも言われています。
用具と装具について、まとめると以下のようになります。
- アメリカンフットボール:ヘルメット、パッドなど、全身を保護する重装備
- ラグビー:マウスピース、ヘッドキャップ(任意)など、比較的軽装
このように、アメリカンフットボールとラグビーは、似ているようでいて、ボールの扱い方、試合の進め方、選手の役割、そして得点方法など、多くの点で違いがあります。どちらのスポーツも、それぞれの魅力と奥深さを持っています。ぜひ、この違いを知った上で、観戦したり、実際にプレーしたりしてみてください!