アレルギーとアトピーの違い、スッキリ理解しよう！

「アレルギー」と「アトピー」、よく似た言葉で混同しやすいですよね。「アレルギーとアトピーの違い」をしっかり理解することで、自分の体や周りの人のことをもっと深く知ることができます。この記事では、それぞれの特徴や関係性を分かりやすく解説していきます。

アレルギーとアトピー：基本の「キ」

まず、アレルギーとは、本来無害なはずの物質（アレルゲン）に対して、体が過剰に反応してしまう状態全般を指します。一方、アトピーは、アレルギー反応を起こしやすい体質のこと。つまり、アトピー体質の人は、アレルギー症状が出やすいのです。 この「体質」か「症状」かという点が、アレルギーとアトピーの違いを理解する上で非常に重要です。

アレルギー反応は、様々な形で現れます。例えば、:

くしゃみや鼻水（アレルギー性鼻炎）
目のかゆみ（アレルギー性結膜炎）
皮膚の発疹やかゆみ（アレルギー性皮膚炎）
呼吸困難（気管支喘息）

といった、目に見える症状から、アナフィラキシーショックのような命に関わるものまであります。アレルゲンも、花粉、ハウスダスト、食べ物、動物の毛など、多岐にわたります。

アトピーは、これらのアレルギー反応を起こしやすい「素因」を持っている状態です。アトピー性皮膚炎は、そのアトピー体質を持つ人に起こりやすい代表的なアレルギー疾患の一つと言えます。アトピー性皮膚炎の人は、皮膚のバリア機能が弱く、外部からの刺激やアレルゲンが侵入しやすいため、かゆみや湿疹が出やすいのです。

アトピー性皮膚炎のメカニズム

アトピー性皮膚炎は、アレルギー反応が皮膚に集中して現れる疾患です。その原因は複雑で、遺伝的な要因と環境的な要因が絡み合って発症すると考えられています。

アトピー性皮膚炎の人の皮膚は、:

バリア機能の低下： 皮膚の角質層にある「バリア機能」が弱く、水分が蒸発しやすく、外部からの刺激やアレルゲンが侵入しやすい状態になっています。
免疫系の過剰反応： 本来なら無害なアレルゲンに対して、免疫系が過剰に反応し、炎症を引き起こしてしまいます。
かゆみ： 炎症によって神経が刺激され、強いかゆみが生じます。このかゆみを掻きむしることで、さらに皮膚のバリア機能が壊れ、悪循環に陥ります。

アトピー性皮膚炎の症状は、個人差が大きく、:

年齢	主な症状の現れ方
乳幼児期	顔、頭、体幹にジクジクした湿疹
学童期〜成人期	肘の内側、膝の裏側、首などの関節部分に乾燥して赤くなる湿疹

のように、年齢によっても現れる場所や状態が変化することがあります。

アレルギーの原因となるアレルゲン

アレルギー反応を引き起こす原因物質をアレルゲンと呼びます。アレルゲンは実に様々で、私たちの身の回りにたくさん存在しています。

主なアレルゲンとしては、以下のようなものが挙げられます。

吸入性アレルゲン：

花粉（スギ、ヒノキ、ブタクサなど）
ハウスダスト（ダニの死骸やフン、カビ、ペットの毛やフケなど）
動物の毛やフケ

食物アレルゲン：

卵、牛乳、小麦、大豆、そば、ピーナッツ、甲殻類など

接触性アレルゲン：

金属（ニッケルなど）、化粧品、植物（ウルシなど）

アレルゲンに触れることで、体はIgE抗体という物質を作り出し、これがアレルギー反応の引き金となります。アトピー性皮膚炎の場合、これらのアレルゲンが皮膚から侵入したり、体内に入ったりすることで、かゆみや湿疹が悪化することが多いのです。

アレルギーとアトピーの検査方法

「自分はアレルギー体質なのか？」「何にアレルギーがあるのだろう？」と疑問に思ったとき、医療機関では様々な検査が行われます。

代表的な検査方法には、次のようなものがあります。

血液検査：

RAST法（特異的IgE抗体検査）：血液中のアレルゲンに対するIgE抗体の量を測定します。
総IgE抗体検査：アレルギー体質かどうかを調べる目安となります。

皮膚テスト：

プリックテスト：皮膚にアレルゲンを垂らし、針で軽く刺して反応を見ます。
パッチテスト：疑わしい物質を皮膚に貼り付け、数日後に反応を見ます。

これらの検査結果と、問診や症状の経過などを総合的に判断して、アレルギーの種類や原因アレルゲンを特定していきます。アトピー性皮膚炎の場合、これらの検査で特定されたアレルゲンが症状の悪化に関わっているかどうかを確認するために行われます。

アレルギーとアトピーの治療法

アレルギーやアトピーの治療は、原因や症状によって様々ですが、基本的には「原因物質との接触を避ける」「症状を抑える」という二つの柱があります。

治療法をまとめると、以下のようになります。

原因療法：

アレルゲン回避：原因となる食べ物を避ける、ダニ対策をするなど、アレルゲンとの接触を避けることが最も重要です。
減感作療法（アレルゲン免疫療法）：アレルギーの原因物質を少量ずつ体内に取り込み、体を慣らしていく治療法です。

対症療法：

薬物療法：抗ヒスタミン薬、ステロイド外用薬、免疫抑制外用薬などを使用し、かゆみや炎症を抑えます。
スキンケア：皮膚のバリア機能を高めるために、保湿をしっかり行うことが大切です。

アトピー性皮膚炎の治療では、特にスキンケアと保湿が重要視されています。皮膚のバリア機能を改善することで、アレルゲンが侵入しにくくなり、症状の悪化を防ぐことにつながります。

アレルギーとアトピーとの付き合い方

アレルギーもアトピーも、完治が難しい場合もありますが、正しく理解し、適切に対処することで、症状をコントロールし、快適な生活を送ることができます。

日常生活で気をつけたいポイントは以下の通りです。

規則正しい生活： 十分な睡眠とバランスの取れた食事は、体の免疫バランスを整えます。
ストレス解消： ストレスはアレルギー症状を悪化させることがあります。自分に合ったリラックス方法を見つけましょう。
清潔を保つ： こまめな掃除や洗濯で、ハウスダストやダニを減らす工夫をしましょう。
医師との連携： 症状が改善しない場合や、不安なことがある場合は、自己判断せず、必ず医師に相談しましょう。

アレルギーとアトピーの違いを理解した上で、自分の体と上手に付き合っていくことが大切です。

「アレルギー」は、体が特定の物質に過剰に反応する「状態」であり、「アトピー」は、アレルギー反応を起こしやすい「体質」であるということが、アレルギーとアトピーの違いの大きなポイントです。どちらも、原因を特定し、適切なケアを行うことで、症状を和らげ、より健やかな毎日を送ることができます。もし気になる症状がある場合は、早めに専門医に相談してみましょう。