目の健康診断を受ける際、「眼底検査」と「眼圧検査」という言葉を耳にすることが多いでしょう。この二つの検査は、どちらも目の病気を見つけるために大切ですが、その目的と方法には明確な違いがあります。「眼底検査と眼圧検査の違い」を理解することは、ご自身の目の健康状態を把握し、将来的なトラブルを防ぐ上で非常に重要です。

眼底検査と眼圧検査: 検査 の 目的 と 方法 の 違い

まず、眼底検査は、文字通り目の奥、つまり「眼底」の状態を詳しく調べる検査です。眼底には、物を見るために非常に重要な「網膜」や「視神経」、「血管」などが集まっています。これらの組織に異常がないかを確認することで、失明につながる可能性のある病気の早期発見に繋がるのです。 眼底検査は、将来の視力低下や失明を予防するために、非常に重要な役割を果たします。

眼圧検査は、目の「眼圧」、つまり眼球の硬さを測る検査です。眼球は、目の中にある「房水(ぼうすい)」という液体によって、適度な硬さが保たれています。この房水の量が多すぎたり少なすぎたりすると、眼圧が正常範囲を超えて高くなったり低くなったりします。眼圧が高すぎると、視神経が圧迫されてダメージを受け、緑内障などの病気を引き起こす原因となることがあります。眼圧検査は、これらの病気を早期に発見するためのスクリーニング検査として役立ちます。

眼底検査と眼圧検査では、見ている場所と測っているものが根本的に異なります。眼底検査は眼底の組織の状態を、眼圧検査は眼球全体の硬さをチェックするのです。それぞれ単独でも大切ですが、両方の検査を組み合わせることで、より多角的に目の健康状態を評価することができます。例えば、眼圧が高くても眼底に異常が見られない場合もあれば、眼圧が正常でも眼底に病変が見つかることもあります。

眼底検査でわかること: 網膜 と 視神経 の 健康 チェック

眼底検査は、目の奥にある網膜や視神経、血管の状態を直接観察できる唯一の検査方法です。この検査によって、以下のような様々な病気の兆候を発見することができます。

  • 網膜剥離
  • 網膜静脈閉塞症
  • 糖尿病網膜症
  • 加齢黄斑変性
  • 視神経乳頭の異常(緑内障の可能性など)

眼底検査の方法はいくつかありますが、一般的には以下の方法がよく用いられます。

  1. 散瞳検査 (さんどうけんさ): 目薬で瞳孔(どうこう:黒目の真ん中の開いている部分)を広げて、眼底をより詳しく観察します。
  2. 無散瞳眼底カメラ: 目薬を使わずに、特殊なカメラで眼底の写真を撮影します。

散瞳検査では、検査後しばらくの間、光がまぶしく感じたり、近くが見えにくくなったりすることがあります。そのため、車や自転車の運転は控えるように指示されることがあります。無散瞳眼底カメラは、手軽に検査を受けられるのがメリットです。

眼圧検査でわかること: 緑内障 の リスク を 知る

眼圧検査は、主に緑内障の発見に繋がる重要な検査です。緑内障は、眼圧の上昇などによって視神経が傷つき、視野(見える範囲)が徐々に狭くなっていく病気です。自覚症状が出にくいことが多く、気づいたときには病状が進行しているケースも少なくありません。

眼圧検査には、いくつかの種類があります。

検査方法 特徴
非接触式眼圧計 空気を吹き付けて測定するため、目に触れずに検査できます。手軽で痛みもありません。
接触式眼圧計 (ゴールドマン眼圧計など) 目に直接触れて測定するため、より正確な値が得られます。麻酔の目薬を使います。

正常な眼圧は、一般的に10~21mmHg(ミリメートル水銀)とされています。ただし、この範囲内であっても緑内障を発症する「正常眼圧緑内障」というタイプもあるため、眼圧の値だけで病気の有無を断定することはできません。眼科医は、眼圧の値だけでなく、眼底検査の結果や視野検査の結果などを総合的に判断して、緑内障かどうかを診断します。

眼底検査と眼圧検査: どんな病気 の 早期 発見 に つながる?

眼底検査と眼圧検査は、それぞれ異なる角度から目の病気を発見するのに役立ちますが、両方を組み合わせることで、より多くの、そしてより重篤な病気の早期発見に繋がります。

眼底検査 は、以下のような病気の早期発見に特に有効です。

  • 糖尿病網膜症: 糖尿病による細い血管の損傷が眼底に現れます。
  • 網膜剥離: 網膜が眼球の壁から剥がれてしまう状態で、放置すると失明の危険があります。
  • 加齢黄斑変性: 黄斑(おうはん)という、物を見る中心部分が変性する病気です。
  • 高血圧による眼底出血: 高血圧が原因で血管が破れて出血することがあります。

眼圧検査 は、主に 緑内障 のスクリーニングに用いられます。緑内障は、初期段階では自覚症状がほとんどないため、定期的な眼圧検査が非常に重要です。

これらの病気は、早期に発見して適切な治療を行えば、進行を遅らせたり、視力を維持したりすることが可能です。しかし、病状が進行してから発見された場合、治療が難しくなり、視力回復が困難になることも少なくありません。

眼底検査 と 眼圧検査 の 実施 時期 と 頻度

眼底検査と眼圧検査を受けるべき時期や頻度は、年齢や健康状態、家族歴などによって異なります。

  • 子供: 学校の健康診断などで視力検査は行われますが、専門的な眼底検査や眼圧検査は、特に異常が疑われない限り、定期的に行う必要は少ないです。ただし、先天的な目の病気がある場合や、家族に目の病気の既往がある場合は、医師の指示に従ってください。
  • 成人(30代~40代): 特に自覚症状がなくても、年に一度の定期健診で眼科を受診し、眼圧検査や簡易的な眼底検査を受けることが推奨されます。この年代から、将来的な目の病気のリスクが徐々に高まってきます。
  • 成人(50代以上): 加齢とともに、緑内障や白内障、加齢黄斑変性などのリスクが高まります。そのため、 年に一度は必ず眼科を受診し、眼底検査と眼圧検査を受けることが強く推奨されます。

また、以下のような場合は、年齢に関わらず早めに眼科を受診し、検査を受けることをおすすめします。

  1. 急な視力低下やかすみ
  2. 物が歪んで見える
  3. 視野の一部が欠けて見える
  4. 目の痛みや充血
  5. 糖尿病や高血圧などの持病がある
  6. 家族に緑内障や白内障などの目の病気の既往がある

定期的に検査を受けることで、病気の早期発見・早期治療に繋がり、大切な視力を守ることができます。

眼底検査 と 眼圧検査 の 費用 と 保険適用

眼底検査と眼圧検査の費用は、医療機関や検査方法によって異なりますが、一般的に数千円程度が目安となります。これらの検査は、健康診断の一環として行われる場合や、眼科で何らかの症状があって受診した場合など、状況によって保険適用となるかどうかが変わってきます。

保険適用になるケース:

  • 緑内障、白内障、糖尿病網膜症などの病気が疑われる場合
  • 視力低下、かすみ、飛蚊症などの自覚症状があり、眼科医が必要と判断した場合
  • 健康診断などで異常を指摘され、再検査が必要な場合

保険適用外(自費診療)になるケース:

  • 単に「念のため」といった理由で、特に症状がないのに健康診断とは別に、ご自身の希望で詳細な眼底検査や眼圧検査を受けたい場合
  • 人間ドックなどのオプション検査として追加する場合

検査を受ける前に、受診する眼科に費用や保険適用について確認しておくと安心です。

眼底検査 と 眼圧検査 を 受ける メリット

眼底検査と眼圧検査を受けることは、あなたの目の健康を守る上で計り知れないメリットがあります。

眼底検査のメリット:

  • 将来の失明につながる病気の早期発見: 糖尿病網膜症や緑内障、網膜剥離など、進行すると視力回復が困難になる病気の兆候を早期に捉えることができます。
  • 全身の病気の発見: 眼底の血管は全身の血管と繋がっているため、糖尿病や高血圧といった全身疾患のサインが眼底に現れることがあります。
  • 正確な診断の基盤: 網膜や視神経の状態を直接確認することで、より正確な診断を下すことができます。

眼圧検査のメリット:

  1. 緑内障の早期発見: 緑内障は自覚症状が出にくいため、定期的な眼圧検査が早期発見の鍵となります。
  2. 治療方針の決定: 眼圧の値は、緑内障の進行度や治療効果を判断する上で重要な指標となります。
  3. 簡便で短時間: 多くの眼圧検査は、患者さんの負担が少なく、短時間で実施できます。

これらの検査を定期的に受けることで、目の健康状態を常に把握し、病気の早期発見・早期治療に繋げることができます。これは、将来にわたってクリアな視界を保ち、豊かな生活を送るために、非常に価値のある投資と言えるでしょう。

眼底検査と眼圧検査は、それぞれ異なる役割を持ちながら、あなたの目の健康を守るために欠かせない検査です。「眼底検査と眼圧検査の違い」を理解し、定期的な受診を心がけることで、大切な目の健康を維持し、将来起こりうる病気から目を守りましょう。

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