「家に帰る」という日本語を英語で表現する際、「come home」と「go home」のどちらを使えばいいか迷うことはありませんか? 実は、この二つには明確な使い分けがあり、話している人の視点や状況によって意味が変わってきます。今回は、この「come home」と「go home」の基本的な違いから、具体的な例文、さらに応用的な使い方まで、分かりやすく解説していきます。

視点の違いが鍵!「come」と「go」の基本

「come home」と「go home」の最も大きな違いは、話している人の「視点」にあります。これは、英語の動詞「come」と「go」の基本的な意味合いに由来しています。話している場所や、話している相手がいる場所を基準にして、「近づいてくる」のか「離れていく」のかで使い分けるのです。

簡単にまとめると、以下のようになります。

  • come home :話している人(または話している人がいる場所)に向かって帰ってくる場合に使います。「こちらへ帰ってくる」というニュアンスです。
  • go home :話している人(または話している人がいる場所)から離れて、どこかへ帰っていく場合に使います。「あちらへ帰っていく」というニュアンスです。

この視点の違いを理解することが、「come home」と「go home」を正しく使い分けるための最も重要なポイントです。

例えば、あなたが家にいて、家族が外出から帰ってくるのを待っているとします。その場合、「They will come home soon.」(彼らはもうすぐ家に帰ってくるだろう)と言うでしょう。これは、あなたが家にいる(=話している人のいる場所)に向かって、家族が帰ってくるからです。

話している人のいる場所 帰る場所 使う表現
come home
学校や会社など go home
学校や会社など go home
学校や会社など 学校や会社など come home

話す相手との関係性で変わる?

「come home」と「go home」の使い分けは、話している相手との関係性によっても影響を受けます。相手がどこにいるのか、そして相手がどこへ向かうのかを想像することが大切です。

例えば、あなたが友人と電話で話しているとしましょう。友人が「今から帰るよ!」と言ってきた場合、あなたが友人の家とは別の場所にいるなら、「Okay, see you when you come home .」(うん、家に帰ってきたらね)と伝えるのが自然です。これは、友人があなたのいる場所から「離れて」家に帰るのではありません。友人が「あなたがいる場所」(=電話の向こう側)に向かって帰ってくる、あるいは、単に友人が自分の目的地である「家」に到着することを、あなたに伝えているのです。

逆に、あなたが友人の家を訪ねていて、友人が学校から帰ってくるのを待っているとします。その場合、「I'll wait for you to come home .」(君が家に帰ってくるのを待っているよ)と言うのが適切です。ここでも、友人が「あなたがいる場所」(=友人の家)に向かって帰ってくるという視点が含まれています。

しかし、もしあなたが学校にいて、友達が家に帰っていくのを見送るような状況なら、「He will go home now.」(彼はもう家に帰るだろう)と言うでしょう。これは、友達があなたのいる場所から「離れて」家に帰っていくからです。

  • come home :相手が「こちら側」(話している人のいる場所)に帰ってくる。
  • go home :相手が「あちら側」(話している人や場所から離れる方向)へ帰っていく。

「home」の特別な位置づけ

「home」は、他の場所を表す名詞(school, station, parkなど)とは少し異なり、副詞としても機能することがあります。そのため、「to home」という形をとらずに「home」だけで使われるのが一般的です。

例えば、「I am going to school.」とは言いますが、「I am going home.」と言います。「to school」は必要ですが、「to home」は不要なのです。この「home」が副詞として機能していることを理解しておくと、「come home」や「go home」が、なぜ「to」を伴わないのかが自然と分かってきます。

したがって、 「home」は、動詞「come」や「go」と結びついて、「家へ」という目的地を直接的に表す のです。

「come home」と「go home」のどちらを使うか迷ったときは、まず「home」が副詞として機能していることを思い出しましょう。そうすれば、「to」をつけない自然な英語表現ができるようになります。

  1. 「home」は副詞として「家に」という意味を表す。
  2. そのため、「to」をつける必要がない。
  3. 「come home」=「家に帰ってくる」
  4. 「go home」=「家に帰っていく」

旅行からの帰宅:どちらが適切?

旅行から帰ってくる場合も、「come home」と「go home」の使い分けは、話している人の視点によって決まります。旅行から帰ってきた「人」が、話している「あなた」がいる場所(=家)に帰ってくるのか、それとも、話している「あなた」が、旅行から帰る「人」とは違う場所にいるのか、という点が重要になります。

例えば、あなたが家にいて、家族が旅行から帰ってくるのを待っているとします。その場合、「My family will come home from their trip tonight.」(私の家族は今夜、旅行から帰ってくるだろう)と言うでしょう。これは、家族が「あなたがいる場所」(=家)に向かって帰ってくるからです。

一方、あなたが空港で、これから海外へ旅立つ友人を空港で見送っているとします。そして、その友人が数日後に帰ってくる予定だと知っている場合、あなたは「I hope you come home safely.」(安全に帰ってきてね)と言うかもしれません。これは、友人が「あなたがいる場所」(=日本、あるいはあなたが友人に伝えている場所)に帰ってくることを願っているからです。

また、もしあなたが旅行先で、これから別の場所へ移動する友人に対して、「I'm going to go home after this.」(この後、家に帰るよ)と言う場合、それはあなたが「友人がいる場所」(=旅行先)から「自分の家」へ向かうからです。

このように、旅行からの帰宅においても、 「話している場所」を基準にして、相手が「近づいてくる」のか「離れていく」のか を考えることで、自然な使い分けができます。

旅行からの帰宅の例文をまとめると、以下のようになります。

  • come home
    • 家にいる人が、旅行から帰ってくる人を待っている場合。
    • 「(あなたがいる)家に帰ってくる」というニュアンス。
  • go home
    • 旅行先から、話している人や場所から離れた方向に帰る場合。
    • 「(話している場所から)離れて家に帰る」というニュアンス。

「home」に「to」がつかない理由

先ほども少し触れましたが、「home」が副詞として機能するため、「to」をつけないという点は非常に重要です。「home」は、場所そのものというよりは、「家という状態」や「家という環境」を表すニュアンスが強いのです。

例えば、「He is at home.」(彼は家にいる)と言います。「He is at the home.」とは言いません。これは、「at home」で「家にいる」という状態を表しているからです。同様に、「come home」や「go home」も、「家に帰る」という動作を直接的に表しています。

しかし、もし「home」を「家という建物」や「特定の家」という名詞として捉えたい場合は、「to」をつけることもあります。例えば、「He returned to his home in the countryside.」(彼は田舎の家へ戻った)のように、所有格(his)や限定詞(a, the)がつく場合は、「home」を名詞として扱い、「to」をつけるのが一般的です。

したがって、 「come home」や「go home」のように、目的地として「家」をシンプルに示したい場合は、「to」は不要 なのです。

「home」を副詞として使う例:

  • I want to go home now. (今すぐ家に帰りたい。)
  • She came home late last night. (彼女は昨夜遅くに家に帰ってきた。)
  • Are you going home for the holidays? (休みの間、家に帰るの?)

「home」を名詞として使う例(この場合は「to」を伴うことが多い):

  1. He bought a new home. (彼は新しい家を買った。)
  2. They are looking for a home to rent. (彼らは借りるための家を探している。)
  3. My childhood home is still there. (私の子供時代の家はまだそこにある。)

「welcome home」との関連性

「welcome home」というフレーズも、「come home」と深い関わりがあります。これは、誰かが「家に帰ってきた」ことを歓迎する言葉であり、やはり「帰ってくる」という「come」のニュアンスが強く反映されています。

例えば、家族が旅行から帰ってきたとき、家で待っている人は「Welcome home!」(おかえりなさい!)と迎えます。これは、相手が「あなたがいる場所」(=家)に「帰ってきた」ことに対する歓迎だからです。

この「welcome home」の「home」も、当然「to」をつけずに使われます。なぜなら、「welcome」という動詞の目的語として「home」が機能しているのではなく、「welcome home」で一つの慣用的な表現として「おかえりなさい」という意味になっているからです。

「welcome home」は、まさに「come home」の「こちらへ帰ってくる」という視点を、歓迎の気持ちと共に表現したもの と言えるでしょう。

「welcome home」を使った状況を想像してみましょう。

  • 留学から帰ってきた子供を迎える両親。
  • 出張から戻ってきた夫を迎える妻。
  • 長期間の旅行から帰ってきた友人。

これらのどの状況でも、相手が「あなたがいる場所」に「帰ってくる」のですから、「welcome home」という表現がぴったりきます。

まとめ:迷ったら「視点」を意識しよう!

「come home」と「go home」の使い分けは、基本的には「話している人の視点」に立って、相手が「こちらに近づいてくる」のか、「あちらへ離れていく」のかを考えることで、ほとんどの場合解決します。

そして、「home」が副詞として使われるため、「to」をつけないというルールも重要なポイントです。この二つを意識すれば、「come home」と「go home」の使い分けに迷うことは少なくなるはずです。

日常会話で積極的に使ってみて、感覚を掴んでいきましょう!

今回の記事をまとめると、以下のようになります。

  1. come home :話している人(または場所)に向かって帰ってくる。
  2. go home :話している人(または場所)から離れて帰っていく。
  3. 「home」は副詞として使われるため、「to」はつけない。
  4. 旅行からの帰宅や「welcome home」なども、この視点の違いで理解できる。

これらのポイントをしっかりと押さえて、英語での「帰宅」表現をマスターしましょう!

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