「なんだかフラフラするな…」と思った時、それが「めまい」なのか「立ちくらみ」なのか、あなたはすぐに区別できますか?実は、この二つは原因も症状も少し違うんです。今回は、めまいと立ちくらみの違いを分かりやすく解説し、それぞれの原因や、もしもの時の対処法についてもご紹介します。 この違いを知っているだけで、いざという時に落ち着いて対応できるようになりますよ。

めまいと立ちくらみ、何が違うの?

まず、一番大切な「めまい」と「立ちくらみ」の根本的な違いについてお話ししましょう。めまいは、文字通り「ぐるぐる」「ゆらゆら」といった、体のバランスが取れていないような感覚が特徴です。まるで、自分が回っているか、周りが回っているような感覚に襲われることもあります。一方、立ちくらみは、文字通り「立っている時にくらっとする」感覚で、血の気が引くような、一瞬意識が遠のくような感覚が強いのが特徴です。

では、具体的にどんな違いがあるのでしょうか?

  • めまい:
    • 自分の体が回っている、または周りの景色が回っているように感じる
    • 天井や壁が揺れているように感じる
    • 耳鳴りや吐き気を伴うこともある
  • 立ちくらみ:
    • 急に立ち上がった時に起こりやすい
    • 血の気が引くような感覚、目の前が真っ白になる
    • 一瞬、意識が遠のくような感覚

このように、めまいは「回転性」や「浮遊感」が強く、立ちくらみは「失神しそうな感覚」が中心となります。原因となる体の仕組みも異なります。

症状 めまい 立ちくらみ
感覚 回転性、浮遊感 血の気引き、失神しそう
主な原因 内耳の異常、脳の異常など 血圧の急激な変化、貧血など

めまいの原因を探る:内耳と脳のサイン

めまいが起こる原因は、主に体のバランスを司る「内耳(ないじ)」や「脳」に問題がある場合が多いです。内耳には、体の傾きや動きを感じ取るセンサーがたくさん詰まっていて、ここがうまく働かなくなると、実際には動いていないのに体が動いていると脳が錯覚してしまうのです。例えば、良性発作性頭位めまい症(BPPV)は、内耳の奥にある耳石という小さな粒が剥がれて、特定の頭の動きでぐるぐるめまいが起こります。

また、脳に原因があるめまいとしては、脳梗塞や脳出血などが考えられます。これらは、めまいだけでなく、手足のしびれやろれつが回らないなどの他の症状を伴うことが多いので、注意が必要です。脳の血管が詰まったり破れたりすると、めまいの症状が現れることがあります。

めまいの種類は、さらに細かく分けることができます。

  1. 末梢性めまい: 内耳や、内耳から脳へ情報を伝える神経の異常によって起こるめまい。代表的なものに、良性発作性頭位めまい症、メニエール病、前庭神経炎などがあります。
  2. 中枢性めまい: 脳の病気(脳梗塞、脳出血、脳腫瘍など)や、脳への血流が悪くなること(脳底椎骨動脈循環不全など)によって起こるめまい。

このように、めまいの原因は多岐にわたるので、安易に自己判断せず、専門医の診断を受けることが重要です。

立ちくらみのメカニズム:血圧との関係

一方、立ちくらみは、私たちの体の「血圧」が大きく関係しています。普段、私たちの体は、立っていても座っていても、脳に十分な血液が流れるように血圧を調整しています。しかし、急に立ち上がると、重力によって足の方に血液が溜まりやすくなり、一時的に脳への血流量が減ってしまうことがあります。この時、脳に十分な血液が届かないために、「くらっとする」「目の前が暗くなる」といった立ちくらみの症状が現れるのです。

特に、以下のような状況で立ちくらみが起こりやすくなります。

  • 長時間の立ち仕事や、暑い場所に長時間いた後
  • 急に立ち上がった時
  • 空腹時
  • 貧血気味の時

これらの状況では、体が血圧をうまく調整しきれず、脳への血流が一時的に低下してしまうのです。

立ちくらみの原因となる血圧の変化について、さらに詳しく見てみましょう。

原因 説明
起立性低血圧 立ち上がった時に血圧が下がりすぎる状態。自律神経の乱れなどが関係していることがあります。
脱水 体内の水分が不足すると、血液量が減り、血圧が下がりやすくなります。
過換気症候群 不安やストレスなどで呼吸が速くなりすぎると、血液中の二酸化炭素が減り、めまいや立ちくらみを起こすことがあります。

立ちくらみが頻繁に起こる場合は、隠れた病気が原因である可能性も考えられます。

めまいの種類:症状から原因を推測

めまいには、その症状によっていくつかの種類に分けられます。まず、「回転性めまい」は、自分がぐるぐる回るような、または周りの景色が回転するように感じるめまいです。これは、内耳にある三半規管や耳石器という平衡感覚に関わる部分の異常が原因であることが多いです。例えば、耳石が剥がれて三半規管に入り込む「良性発作性頭位めまい症」は、この回転性めまいの代表例です。

次に、「浮遊性めまい」は、体がふわふわと揺れているような、地面が沈むような感覚です。これは、脳の血流が悪くなったり、自律神経の乱れが原因で起こることがあります。また、「立ちくらみ」に近い感覚ですが、めまいの一種として「動揺性めまい」というのもあります。これは、まっすぐ歩けないような、ふらつき感や、まっすぐ立っていられないような感覚が特徴です。

さらに、めまいの症状を整理してみましょう。

  • 回転性めまい:
    • ぐるぐる回る感覚
    • 天井や壁が回っているように見える
    • 吐き気や嘔吐を伴うことが多い
  • 浮遊性めまい:
    • ふわふわする、雲の上を歩いているような感覚
    • 地面が沈む、傾くような感覚
    • 乗り物酔いに似た感覚
  • 動揺性めまい:
    • ふらつき、ぐらつき
    • まっすぐ歩けない、バランスが取りにくい
    • 立っているのが不安

これらの症状の違いを把握することで、原因を特定する手がかりになります。

立ちくらみの原因:日常生活の注意点

立ちくらみは、日常生活の中で起こりやすい症状ですが、いくつか注意しておきたいポイントがあります。まず、急な体勢の変化です。寝ている状態や座っている状態から、急に立ち上がると、血圧が追いつかずに立ちくらみを起こしやすくなります。ゆっくりと時間をかけて立ち上がるように心がけましょう。

また、脱水症状にも注意が必要です。特に夏場や、激しい運動をした後、発熱や下痢・嘔吐があった時などは、体内の水分が不足しがちです。水分補給をこまめに行うことで、立ちくらみを予防できます。アルコールやカフェインの摂りすぎも、利尿作用によって脱水を招くことがあるため、控えめにしましょう。

立ちくらみを予防するための生活習慣をまとめると、以下のようになります。

  1. ゆっくりとした動作を心がける: 急な立ち上がりや、急な体勢の変更は避ける。
  2. こまめな水分補給: 特に、暑い時期や運動時、体調が悪い時は意識して水分を摂る。
  3. バランスの取れた食事: 鉄分やビタミンB群などをしっかり摂り、貧血を予防する。
  4. 十分な睡眠と休息: 自律神経のバランスを整える。

これらの基本的な対策で、多くの立ちくらみは改善されることがあります。

めまいと立ちくらみの見分け方:こんな時は病院へ

「これはめまい?それとも立ちくらみ?」と迷った時、あるいは、症状が長引いたり、他の気になる症状を伴う場合は、迷わず医療機関を受診しましょう。特に、めまいの場合は、脳や内耳の病気が隠れている可能性も否定できません。回転性めまいが頻繁に起こる、めまいと同時に耳鳴りや難聴、耳の詰まった感じがある、などの場合は、耳鼻咽喉科を受診するのが良いでしょう。

一方、立ちくらみが頻繁に起こり、めまいと同時に動悸、息切れ、顔面蒼白、失神(気を失うこと)を伴う場合は、循環器内科や脳神経内科の受診を検討しましょう。特に、突然の激しい頭痛や、手足の麻痺、ろれつが回らないといった症状がある場合は、すぐに救急車を呼ぶなどの対応が必要です。これらの重篤な症状は、脳卒中などの危険な病気のサインである可能性があります。

受診の目安となる症状を以下にまとめました。

  • すぐに病院へ行くべき症状(めまい・立ちくらみ共通):
    • 突然の激しい頭痛
    • 手足のしびれや麻痺
    • ろれつが回らない、言葉が出にくい
    • 物が二重に見える
    • 激しい吐き気や嘔吐
    • 意識が遠のく、失神
  • 耳鼻咽喉科で相談すべき症状(めまい):
    • 回転性めまいが頻繁に起こる
    • 耳鳴り、難聴、耳閉感(耳が詰まった感じ)を伴う
    • 特定の頭の動きでめまいが誘発される
  • 内科・循環器内科で相談すべき症状(立ちくらみ・めまい):
    • 立ちくらみが頻繁で、失神しそうになる
    • 動悸、息切れ、顔面蒼白を伴う
    • 貧血の指摘を受けたことがある

症状を医師に正確に伝えるために、いつ、どのような状況で、どれくらいの時間、どのような症状があったかをメモしておくと役立ちます。

めまいと立ちくらみのセルフケア:日常生活でできること

めまいや立ちくらみが起こった時の応急処置や、日頃からできるセルフケアについてもお話ししましょう。もし、めまいが起きたら、まずは安全な場所に座るか横になり、楽な姿勢をとってください。無理に動くと、転倒などの二次的な事故につながる恐れがあります。静かな暗い場所で、ゆっくりと深呼吸をすると、症状が落ち着くことがあります。吐き気がある場合は、無理に我慢せず、楽な姿勢でやり過ごしましょう。

立ちくらみが起きたら、すぐにしゃがみ込むか、椅子などに座ってください。可能であれば、足を心臓より高い位置に上げると、脳への血流が改善されやすくなります。ゆっくりと深呼吸をすることも有効です。症状が治まるまで、無理に動かないことが大切です。

日頃からできるセルフケアとしては、先ほどもお話ししたように、規則正しい生活、バランスの取れた食事、十分な睡眠が基本です。特に、貧血気味の方は、鉄分を多く含む食品(レバー、ほうれん草、赤身の肉など)を積極的に摂るようにしましょう。また、ストレスを溜めないように、適度な運動やリラックスできる時間を持つことも、自律神経のバランスを整える上で大切です。

セルフケアでできることのまとめです。

  1. めまい・立ちくらみ発生時:
    • 安全な場所で安静にする。
    • 楽な姿勢をとる。
    • ゆっくりと深呼吸をする。
    • 無理に動かない。
  2. 日頃からできること:
    • 規則正しい生活習慣(食事、睡眠、適度な運動)。
    • バランスの取れた食事(特に鉄分)。
    • ストレスを溜めない工夫。
    • 急な体勢変化を避ける。

これらのセルフケアを習慣づけることで、めまいや立ちくらみの頻度を減らすことが期待できます。

めまいと立ちくらみ、その違いについて理解を深めることは、ご自身の体のサインを正確に読み取り、適切な対処をするために非常に重要です。どちらの症状も、軽視せずに、ご自身の体に合ったケアや、必要であれば専門家への相談を心がけましょう。

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