「看護師」と「保健師」、どちらも医療や健康に関わる大切なお仕事ですが、実はその役割にははっきりとした違いがあります。今回は、そんな 看護 師 と 保健 師 の 違い について、わかりやすく解説していきましょう。

1.働く場所と対象者の違い

看護師と保健師の最も大きな違いは、働く場所と、誰を対象にケアを行うかという点です。看護師は、主に病院やクリニックなどの医療機関で、病気や怪我をした人々に対して、直接的な治療の補助や、日常生活の介助を行います。患者さんの回復を一番近くで支えるのが看護師の役割です。

一方、保健師は、地域社会全体や特定の集団(例えば、妊婦さん、高齢者、企業の従業員など)を対象に、健康の維持・増進や病気の予防を目指します。健康な人がさらに健康になるように、また、病気になるのを未然に防ぐための活動が中心となります。 地域住民の健康を守るという視点が、保健師の大きな特徴です。

  • 看護師:
    1. 病気や怪我をした人への直接的なケア
    2. 医療行為の補助
    3. 患者さんの心身のサポート
  • 保健師:
    1. 地域住民や特定の集団の健康相談
    2. 健康教育の実施
    3. 病気の予防活動

2.主な業務内容の比較

看護師の主な業務は、医師の指示のもとでの注射や点滴、採血、創処置、バイタルサイン(体温、脈拍、血圧など)の測定、患者さんの食事や入浴の介助、そして精神的なケアなど多岐にわたります。患者さんが安心して治療を受け、一日でも早く回復できるように、きめ細やかなサービスを提供します。

対して、保健師の業務は、健康診断の結果に基づいた保健指導、乳幼児健診での相談、学校での健康相談、職場でのメンタルヘルス対策、高齢者の自宅訪問による健康チェック、感染症の予防啓発活動などが挙げられます。 「病気になってから治す」のではなく、「病気にならないように、健康を維持する」ための活動に力を入れています。

業務内容 看護師 保健師
直接的なケア ◎(患者中心) △(集団・地域中心)
健康増進・予防
医療行為 ×

3.活躍の場:医療現場か地域か

看護師は、文字通り「看護」を専門とするため、病院、診療所、介護老人保健施設、訪問看護ステーションなど、医療や介護が提供される場所で活躍します。病棟での勤務、外来での勤務、手術室での勤務など、様々な部署で専門性を発揮します。

一方、保健師は、市町村の保健センター、保健所、企業の医務室、学校の保健室、大学の学生相談室、さらには民間の健康管理サービスを提供する会社など、医療機関以外の多様な場所で活躍の場を広げています。 地域住民の健康を包括的にサポートする役割を担っています。

  • 看護師の主な活躍の場:
    1. 病院
    2. クリニック
    3. 介護老人保健施設
    4. 訪問看護ステーション
  • 保健師の主な活躍の場:
    1. 市町村の保健センター
    2. 保健所
    3. 企業の医務室
    4. 学校
    5. 大学

4.資格取得の道のり

看護師になるためには、まず看護大学や看護専門学校で3年または4年間学び、国家試験である「看護師国家試験」に合格する必要があります。この試験に合格することで、看護師免許が与えられ、医療現場で働くことができるようになります。

保健師になるためには、看護師国家試験に合格して看護師免許を取得した後、さらに保健師養成課程のある学校で1年以上学び、国家試験である「保健師国家試験」に合格する必要があります。 つまり、保健師になるためには、まず看護師としての基礎知識と技術が必要となるのです。

  1. 看護学校等で学ぶ
  2. 看護師国家試験に合格(看護師免許取得)
  3. 保健師養成課程で学ぶ
  4. 保健師国家試験に合格(保健師免許取得)

5.専門性とアプローチの違い

看護師は、個々の患者さんの病状を把握し、その状態に合わせた看護ケアを提供することに長けています。病気や怪我の回復を促進するための専門的な知識と技術を持ち、患者さんの苦痛を軽減することを目指します。

保健師は、個人だけでなく、家族や地域社会というより広い視点で健康問題をとらえます。その地域に住む人々の健康状態を分析し、集団として健康レベルを向上させるための計画を立て、実行していきます。 「病気になった人を治療する」というより、「病気にならないための環境づくり」に注力します。

6.コミュニケーションの相手

看護師が主にコミュニケーションをとるのは、病気や怪我をした患者さん本人、そしてそのご家族です。患者さんの声に耳を傾け、不安を和らげ、信頼関係を築きながらケアを行います。

保健師のコミュニケーションの相手は、個人だけでなく、地域住民全体、学校や企業の関係者、行政の担当者など、非常に幅広くなります。様々な立場の人々と連携し、地域全体の健康増進に繋がる活動を進めていきます。

7.目指すゴール

看護師が目指すゴールは、患者さんが病気や怪我から回復し、元の健康な状態に戻る、あるいは病気と上手に付き合いながら生活できるようになることです。患者さんのQOL(Quality of Life:生活の質)の向上を支援します。

保健師が目指すゴールは、地域社会全体の健康寿命を延ばし、健康格差をなくし、人々が健康でいきいきと暮らせる社会を築くことです。 「みんなが健康で幸せな暮らしを送れる」ことが、保健師の最終的な目標と言えるでしょう。

このように、看護師と保健師は、それぞれ異なる専門性やアプローチを持っていますが、どちらも人々の健康を支える、なくてはならない大切な存在です。それぞれの役割を理解することで、もしもの時に、どちらの専門家に相談すれば良いかが明確になるはずです。

Related Articles: