アメフトとラグビー、どちらもボールを追いかける迫力あるスポーツですが、実はそのルールや魅力には大きな違いがあります。この両者の違いを理解することで、観戦がもっと楽しくなるはずです。ここでは、アメフトとラグビーの主な違いについて、分かりやすく解説していきます。

ボールの扱い方とパスの規則

アメフトとラグビーの最も分かりやすい違いの一つは、ボールの扱い方です。アメフトでは、ボールを前に投げる「パス」が戦術の要となります。このパスは、クォーターバックと呼ばれる選手が、味方選手に正確に投げ込むことが求められます。パスが成功するかどうかで、試合の流れが大きく変わるため、 パスの精度はアメフトにおいて非常に重要 です。

一方、ラグビーでは、ボールを前に投げることは基本的に反則となります。ボールを前に進めるには、キックをするか、味方に後ろや横に投げる「パス」を使う必要があります。この「後ろや横へのパス」が、ラグビーの独特な展開を生み出しています。

両者のパスの規則をまとめると以下のようになります。

  • アメフト:前方へのパスが認められており、攻撃の生命線
  • ラグビー:前方へのパスは反則。後方・側方へのパスのみ認められる

試合の進め方と得点方法

試合の進め方や得点方法にも、アメフトとラグビーでは違いがあります。アメフトでは、攻撃側は「4回の攻撃権(ダウン)」以内に10ヤード以上進む必要があります。これが達成できない場合は、攻撃権が相手に移ります。得点方法としては、ボールを相手陣地のインゴールに持ち込む「タッチダウン」が最も高く、6点が入ります。その他にも、フィールドゴールやセーフティなど、様々な得点方法があります。

ラグビーでは、試合時間は前後半で決まっており、時間内にできるだけ多く得点を稼ぐことを目指します。得点方法の代表的なものは、「トライ」で、ボールを相手陣地のインゴールに持ち込むことで5点が入ります。トライの後には、ゴールキックのチャンスがあり、成功すれば追加の2点が与えられます。また、ペナルティキックからの得点などもあります。

項目 アメフト ラグビー
攻撃権 4回のダウンで10ヤード以上進む 時間制(前後半)
主要な得点 タッチダウン(6点) トライ(5点)+コンバージョンキック(2点)

選手の人数とポジション

フィールドにいる選手の人数も、アメフトとラグビーで異なります。アメフトは、1チーム11人ずつがフィールドでプレーします。攻撃時と守備時で選手が入れ替わるため、専門性の高いポジションが存在するのが特徴です。選手一人ひとりが特定の役割を担い、戦略的なプレーが展開されます。

一方、ラグビーは、1チーム15人(ユニオンの場合)または13人(リーグの場合)がフィールドでプレーします。アメフトのように攻撃と守備で選手が頻繁に入れ替わることは少なく、攻撃と守備の両方をこなす選手が多いのが特徴です。ポジションは大きく分けて、フォワード(体の大きい選手たち)とバックス(足の速い選手たち)に分かれます。

  1. アメフト:1チーム11人。攻撃・守備で選手交代あり。
  2. ラグビー:1チーム15人(ユニオン)または13人(リーグ)。攻守兼任の選手が多い。

コンタクトプレーの激しさ

どちらのスポーツも激しいコンタクトプレーが魅力ですが、その様式には違いがあります。アメフトでは、選手がヘルメットやパッドなどの防具をしっかり装着しているため、激しいタックルやぶつかり合いが特徴的です。プレーが止まるたびに戦略が練り直され、一瞬の攻防が繰り広げられます。

ラグビーでも、激しいタックルはありますが、防具はマウスピース程度で、アメフトほど重装備ではありません。そのため、タックルした選手も、ボールを持った選手も、地面に倒れた後もプレーが継続されることがあります。この「継続性」が、ラグビーのダイナミックな展開を生み出しています。

試合のテンポと戦略性

試合のテンポも、アメフトとラグビーでは大きく異なります。アメフトは、プレーの合間に時間が止まることが多く、戦略を練り直したり、選手交代を行ったりする時間が十分にあります。そのため、緻密な作戦が重視されるスポーツと言えます。

対照的に、ラグビーはプレーが継続して行われることが多く、試合のテンポが速いです。状況判断の速さや、選手同士の連携が非常に重要になります。一瞬の判断ミスが試合の流れを大きく左右することもあります。

キックの役割

キックは、アメフトとラグビーの両方で使われる技術ですが、その役割には違いがあります。アメフトでは、フィールドゴールやパント(相手陣地を深く蹴り込む)など、得点や陣地獲得のための手段として使われます。特にフィールドゴールは、試合終盤の逆転劇を生み出すこともあります。

ラグビーでは、キックは攻撃の起点となったり、相手を自陣から遠ざけたりする重要な戦術です。ペナルティキックからの得点や、相手の陣地深くへ正確に蹴り込む「ナイス・キック」は、試合を有利に進めるために欠かせません。また、プレー中にキックを多用する選手もいます。

反則の取り方

反則の取り方にも、両者の違いが見られます。アメフトでは、ファウル(反則)の際には、審判が「イエローフラッグ」を投げ、プレーが一時中断されます。反則の種類によって罰則が異なり、罰退(相手に有利な地点からのプレー権が与えられる)や罰退(ヤードを進められる)などがあります。

ラグビーでは、反則の際には「ペナルティ」が与えられます。ペナルティの種類によって、相手チームに「ペナルティキック」の権利が与えられる場合と、スクラム(選手が密集してボールを奪い合うセットプレー)が組まれる場合があります。ラグビーの反則は、試合のテンポを大きく損なわないように、比較的スムーズに処理される傾向があります。

まとめ

アメフトとラグビーは、どちらもボールを奪い合い、相手陣地を目指すという点では似ていますが、ルールや戦略、そしてプレーの展開においては、それぞれ全く異なる魅力を持っています。これらの違いを理解することで、両方のスポーツの奥深さをより一層感じられることでしょう。ぜひ、それぞれのスポーツの試合を観戦して、その魅力を体験してみてください。

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