サックスを始めるにあたって、まず悩むのがどの種類のサックスを選ぶかですよね。特に、最もポピュラーなアルトサックスとテナーサックスは、見た目も音色も似ているようで、実はたくさんの違いがあります。この記事では、「アルトサックスとテナーサックスの違い」を、それぞれの特徴や魅力を掘り下げながら、分かりやすく解説していきます。
サイズと形状の違い
アルトサックスとテナーサックスの最も分かりやすい違いは、そのサイズです。テナーサックスの方がアルトサックスよりも一回り大きく、全長も長くなっています。このサイズの違いが、音色や演奏のしやすさに大きく影響します。
具体的には、以下のようになります。
- アルトサックス: 全長約68cm、重さ約2.5kg
- テナーサックス: 全長約77cm、重さ約3.8kg
このサイズの違いを理解することは、自分に合ったサックスを選ぶ上で非常に重要です。 テナーサックスは大きい分、よりパワフルで豊かな響きを持つ傾向がありますが、その反面、体力や手の大きさによっては演奏が難しく感じることもあります。
音域と音色の違い
サイズの違いは、そのまま音域と音色の違いにも繋がります。アルトサックスはテナーサックスよりも高い音域を担当しており、明るく軽やかな音色が特徴です。一方、テナーサックスはアルトサックスよりも低い音域を持ち、太く深みのある、温かい音色が魅力です。
それぞれの音色のイメージは以下の通りです。
| アルトサックス | 明るく、華やか。ポップスやジャズのソロパートでもよく聞かれます。 |
|---|---|
| テナーサックス | 太く、温かい。バラードやブルースなど、感情を込めた演奏に向いています。 |
どちらの音色が好みかによって、選ぶサックスも変わってきます。もちろん、どちらのサックスでも様々なジャンルの音楽を演奏できますが、それぞれの音色がより活きる場面というのも存在します。
運指とキーの配置
サックスの運指は、基本的にどの種類でも同じです。つまり、アルトサックスで覚えた運指は、そのままテナーサックスにも応用できます。これは、サックスを始める上での大きなメリットと言えるでしょう。
しかし、サイズが異なるため、キーの配置や大きさに若干の違いがあります。具体的には:
- テナーサックスの方がキーが少し大きめに作られています。
- キーの間隔も、テナーサックスの方が広めになっています。
そのため、手の小さい方や指が短い方は、アルトサックスの方が指が届きやすく、演奏しやすいと感じるかもしれません。逆に、手が大きい方や指が長い方であれば、テナーサックスのキーの配置も自然に扱えるでしょう。
マウスピースとリードの違い
サックスの音色を大きく左右するのが、マウスピースとリードです。アルトサックスとテナーサックスでは、それぞれ専用のマウスピースとリードを使用します。これは、管の太さや長さ、そして音域の違いに対応するためです。
マウスピースとリードには、以下のような違いがあります。
- マウスピース: テナーサックスのマウスピースは、アルトサックスのものよりも一般的に開口部が広く、シャンク(リードを取り付ける部分)も長いです。
- リード: テナーサックス用のリードは、アルトサックス用よりも厚く、幅広です。
これらの違いにより、テナーサックスはより抵抗感があり、吹くのに少し力が必要ですが、その分、息をしっかり吹き込むことで太くパワフルな音を出すことができます。
演奏されるジャンルと役割
アルトサックスとテナーサックスは、それぞれ得意とするジャンルや、バンド内での役割が異なることがあります。もちろん、これは絶対的なものではありませんが、一般的な傾向として理解しておくと良いでしょう。
アルトサックス は、その明るく華やかな音色から、ポップス、ジャズ、ファンクなど、様々なジャンルで活躍します。特に、メロディーラインを奏でるリード楽器として、またソロパートで輝くことが多いです。バンドの「顔」となることも少なくありません。
テナーサックス は、その太く温かい音色から、ブルース、ジャズ、バラードなどでよく耳にします。アルトサックスよりも落ち着いた響きを持ち、ハーモニーを支える役割や、聞く人の心に深く染み渡るようなソロを奏でるのに適しています。ロックンロールの象徴的なサウンドとしても有名です。
両方のサックスが活躍する場面も多く、どちらか一方だけ、というわけではありません。
持ち運びと保管
サックスを演奏する上で、持ち運びや保管も考慮すべき点です。テナーサックスはアルトサックスよりも大きいため、ケースも必然的に大きくなり、重量も増します。これは、毎日の練習やライブ会場への移動などを考えると、無視できない要素です。
具体的には:
- ケースのサイズ: テナーサックスのケースは、アルトサックスのケースよりも一回り大きくなります。
- 重さ: テナーサックス本体に加えてケースも重くなるため、持ち運びにはより体力が必要です。
ただし、最近では軽量化されたケースや、キャスター付きのケースなども登場しており、持ち運びの負担を軽減する工夫もされています。
まとめ:自分に合ったサックスを見つけよう!
ここまで、アルトサックスとテナーサックスの様々な違いについて解説してきました。どちらのサックスにもそれぞれの魅力があり、どちらが優れているということはありません。大切なのは、ご自身の好み、演奏したい音楽、そして体力などを考慮して、最も自分に合ったサックスを見つけることです。
もし可能であれば、楽器店などで実際に両方のサックスに触れて、音を出してみることを強くおすすめします。その時のフィーリングや、出せる音の響きで、きっと「これだ!」と思える一本に出会えるはずです。サックスライフを存分に楽しんでくださいね!