数学の世界には、いろんな「式」が登場しますが、その中でも特に基本となるのが「多項式」と「単項式」です。この二つの違いをしっかり理解することは、今後の数学学習の土台となります。今回は、この 多項式 と 単項式 の 違い を、具体的な例を交えながら分かりやすく解説していきますね!
単項式ってなんだろう?
まず、単項式から見ていきましょう。単項式というのは、文字と数字が掛け合わされたり、文字同士が掛け合わされたりしている、たった一つの「項」でできている式のことです。例えば、「3x」とか「5xy」とか、「-2a²b」のようなものが単項式にあたります。数字だけの「5」や「-10」なんかも、文字がないだけで単項式と考えることができますよ。
単項式は、係数(文字の前についている数字)と文字の部分で構成されています。文字の部分は、掛け合わされている文字の個数で次数が決まります。例えば、「3x」はxが1つなので1次、「5xy」はxとyで文字が2つなので2次、「-2a²b」はaが2つとbが1つで合計3次となります。
単項式について、いくつかポイントをまとめてみましょう。
- たった一つの「項」でできている。
- 係数と文字の部分からなる。
- 文字の個数で次数が決まる。
例えば、以下のものは単項式です。
| 例 | 係数 | 文字 | 次数 |
| 7x | 7 | x | 1次 |
| -4ab | -4 | a, b | 2次 |
| y³ | 1 | y | 3次 |
多項式ってなんだろう?
次に、多項式です。多項式というのは、さっき説明した単項式が、足し算や引き算でいくつか組み合わさった式のことを言います。つまり、たくさんの「項」が集まってできている、というのが多項式なんです。「3x + 5」とか、「2x² - 4x + 1」のようなものが多項式の例です。
多項式を理解する上で大切なのは、それぞれの単項式が「項」として区切られているということです。例えば、「2x² - 4x + 1」という多項式は、「2x²」という項、「-4x」という項、「+1」という項の3つの項でできています。それぞれの項は、足し算や引き算で繋がっています。
多項式の次数は、その多項式を構成する単項式の中で、最も次数の大きいものが、その多項式の次数となります。例えば、「2x² - 4x + 1」では、項の次数はそれぞれ2次、1次、0次(定数項)なので、この多項式全体の次数は2次となります。
多項式について、こちらもポイントを整理してみましょう。
- 単項式が複数、足し算や引き算で繋がったもの。
- それぞれの単項式が「項」となる。
- 多項式全体の次数は、最も次数の高い項の次数と同じ。
例を見てみましょう。
- x + y (xとy、2つの項からなる1次式)
- 3a² - 2a + 7 (3a²、-2a、7 の3つの項からなる2次式)
- 5xy - 2y² + 3x (5xy、-2y²、3x の3つの項からなる2次式)
単項式と多項式の「違い」を具体的に見てみよう!
さて、ここまでで単項式と多項式の基本的な形は理解できたかと思います。ここで、両者の「違い」をさらに具体的に、いくつかの視点から見ていきましょう。
まず、一番分かりやすいのは「項の数」です。単項式は文字通り「単(ひとつ)」の項でできているのに対し、多項式は「多(たくさん)」の項でできています。例えば、「-5b」は単項式ですが、「-5b + 2c」となると、これは2つの項(-5bと+2c)があるので多項式になります。
次に、「式としての構造」です。単項式は、係数と文字の掛け算だけで構成されているシンプルな構造です。一方、多項式は、単項式同士が足し算や引き算で結びついている、より複雑な構造をしています。この「足し算・引き算」があるかないかが、両者を分ける大きなポイントと言えるでしょう。
さらに、「計算の仕方」にも違いが出てきます。単項式同士で、文字の部分が全く同じであれば「同類項」としてまとめることができます。例えば、「2x + 3x」は「5x」のように計算できます。しかし、多項式の場合は、それぞれの項が独立しているので、同類項がない限り、そのままの形で表すのが基本です。
まとめると、単項式と多項式の違いは以下のようになります。
| 単項式 | 多項式 | |
| 項の数 | 1つ | 2つ以上 |
| 構造 | 係数と文字の掛け算のみ | 単項式同士の足し算・引き算 |
| 計算 | 同類項があればまとめる | 同類項があればまとめるが、基本はそのまま |
多項式と単項式の「関係性」
単項式と多項式は、このように違いがありますが、実はとても密接な関係があります。それは、**多項式は単項式の集まりである**ということです。単項式が基本単位となって、それらが組み合わさることで多項式が生まれる、というイメージです。
例えば、「4x³ + 2x² - x + 5」という多項式がありますが、これは「4x³」という単項式、「2x²」という単項式、「-x」という単項式、「5」という単項式、これら4つの単項式が足し算と引き算で繋がったものと考えることができます。
この関係性を理解することは、多項式の計算をする上で非常に重要です。なぜなら、多項式を扱う際も、結局はそれぞれの「項」(つまり単項式)の性質を理解していることが前提となるからです。
関係性を整理すると、以下のようになります。
- 単項式は、多項式を構成する「部品」のようなもの。
- 多項式は、複数の単項式が組み合わさってできている。
- 単項式の性質(係数、次数など)を理解することが、多項式の理解に繋がる。
多項式の「次数」についてもっと詳しく
先ほども少し触れましたが、多項式の「次数」はとても大切な概念です。多項式の次数とは、その多項式に含まれる単項式の中で、最も次数の高いものが、その多項式の次数になります。
例えば、「2x²y + 3xy² - 5」という多項式を考えてみましょう。
- 「2x²y」の次数は、xが2つ、yが1つで合計3次です。
- 「3xy²」の次数は、xが1つ、yが2つで合計3次です。
- 「-5」の次数は、文字がないので0次です。
この場合、最も次数が高いのは3次ですから、この多項式全体の次数は3次となります。
多項式の次数を求める練習をしてみましょう。
- a + b + c → 次数: 1次
- 5x³ - 2x + 1 → 次数: 3次
- -p²q + 4pq² - 7 → 次数: 3次(p², q で3次、p, q² で3次)
多項式の「項」に注目!
多項式は、足し算や引き算で区切られた「項」の集まりです。それぞれの項をしっかり見分けることが、多項式を正確に理解する第一歩となります。
例えば、「3x² - 4x + 7」という多項式では、項は以下の3つです。
- 3x² (係数は3、次数は2)
- -4x (係数は-4、次数は1)
- +7 (係数は7、次数は0。これは定数項と呼ばれます。)
「+」や「-」で区切られている部分に注目すると、項を間違えることが少なくなります。それぞれの項は、係数と文字の部分に分けて考えることができます。
項について、さらに確認しましょう。
| 多項式 | 項 | 項の数 |
| 2a + 5b - c | 2a, +5b, -c | 3つ |
| -x² + 3x - 1 | -x², +3x, -1 | 3つ |
| 4yz | 4yz | 1つ(これは単項式です!) |
単項式と多項式の「加法・減法」(足し算・引き算)
単項式と多項式の計算、特に足し算と引き算は、基本中の基本です。ここでは、同類項をまとめるという考え方が重要になります。
同類項とは、文字の部分が全く同じ項のこと を言います。例えば、「2x」と「5x」は、どちらも文字が「x」なので同類項です。「3a²b」と「-7a²b」も、文字の部分が「a²b」で同じなので同類項です。
同類項は、係数だけを足したり引いたりしてまとめることができます。
- 単項式の足し算・引き算の例:
- 2x + 5x = (2+5)x = 7x
- 3a²b - 7a²b = (3-7)a²b = -4a²b
多項式同士の足し算・引き算でも、この「同類項をまとめる」という作業を行います。ただし、項を間違えずに、正しく同類項を見つけることが大切です。
- 多項式の足し算の例:
- (2x + 3) + (x - 1) = 2x + 3 + x - 1 (カッコを外す)
- = (2x + x) + (3 - 1) (同類項をまとめる)
- = 3x + 2
- 多項式の引き算の例:
- (4y² - y) - (2y² + 3) = 4y² - y - 2y² - 3 (カッコを外す。引き算の場合は後ろのカッコの中の符号が全て変わることに注意!)
- = (4y² - 2y²) - y - 3 (同類項をまとめる)
- = 2y² - y - 3
単項式と多項式の「乗法・除法」(掛け算・割り算)
掛け算と割り算も、単項式と多項式で少しずつ考え方が異なります。
単項式同士の掛け算・割り算 は、係数同士、文字同士をそれぞれ計算します。文字同士の掛け算では、指数法則を使います(例: x² × x³ = x⁵)。
- 単項式の掛け算の例:
- (3x²) × (4x) = (3 × 4) × (x² × x) = 12x³
- 単項式の割り算の例:
- (10a³b²) ÷ (2ab) = (10 ÷ 2) × (a³ ÷ a) × (b² ÷ b) = 5a²b
単項式と多項式の掛け算 の場合は、「分配法則」を使います。多項式の各項に、単項式をそれぞれ掛け合わせます。
- 単項式と多項式の掛け算の例:
- 2x(3x + 5) = (2x × 3x) + (2x × 5) = 6x² + 10x
- -a(a² - 2a + 1) = (-a × a²) + (-a × -2a) + (-a × 1) = -a³ + 2a² - a
多項式同士の掛け算 は、それぞれの項を漏れなく掛け合わせていくことになります。これは、分配法則を何度も使うイメージです。
| 多項式同士の掛け算の例: | (x + 2)(x + 3) |
| 展開: | = x(x + 3) + 2(x + 3) (最初のカッコの各項に、後ろのカッコを掛ける) |
| = (x × x) + (x × 3) + (2 × x) + (2 × 3) (さらに分配法則) | |
| = x² + 3x + 2x + 6 | |
| = x² + 5x + 6 (同類項をまとめる) |
割り算については、多項式を単項式で割る場合は、それぞれの項を単項式で割る(分配法則の逆のようなイメージ)ことになります。ただし、複雑な割り算は、高校数学でさらに詳しく学びます。
まとめ:多項式 と 単項式 の 違い をマスターしよう!
ここまで、「多項式 と 単項式 の 違い」について、その定義から具体的な計算方法まで、じっくりと見てきました。単項式は文字と数字の掛け算だけでできた「一つ」の項、多項式はそれが複数組み合わさった「たくさんの」項からなる式、という違いが、一番のポイントでしたね。
この二つの違いをしっかりと頭に入れ、それぞれの性質や計算方法をマスターすれば、数学の様々な問題を解くための強力な武器となります。これからも、数学の学習を楽しんでいきましょう!